
「公務員になりたいけど、高卒と大卒で給料にどれくらい差が出るのか不安…」そんな悩みを抱えていませんか?実は、スタートラインだけでなく、その後の昇進スピードや生涯年収には残酷なまでの「格差」が存在するのが現実です。
この記事では、元公務員の私が人事院のデータや現場のリアルな実情をもとに、給与格差の真実と、それでも高卒公務員が輝くための戦略を徹底解説します。
- 1. 現実の壁!高卒と大卒で給料・待遇はここまで違う
- 2. 【初任給比較】スタートラインで数万円の差?国と地方のデータを公開
- 3. 絶望的な昇進スピードの格差…「試験区分」という名の身分制度
- 4. 生涯年収は家一軒分!?数千万円の格差が生まれるカラクリ
- 5. それでも「高卒公務員」が勝ち組になれる理由と生存戦略
- 6. ぶっちゃけどうする?進路に迷うあなたへの元職員からの提言
- 7. まとめ
1. 現実の壁!高卒と大卒で給料・待遇はここまで違う
「公務員は安定しているから、学歴なんて関係ないでしょ?」
もしあなたがそう思っているなら、少しだけ認識を改める必要があるかもしれません。私が市役所で働いていた頃、実際に目の当たりにしたのは、学歴という見えない壁によって生じる、給与とキャリアの明確な違いでした。
もちろん、仕事のやりがいや人間関係は学歴とは無関係です。しかし、毎月振り込まれる給料や、ボーナスの明細を見ると、そこには確かな「差」が存在していました。
多くの人が気になるのは、「具体的にいくら違うのか」「その差は埋まるのか」という点でしょう。
結論から言うと、高卒と大卒では、初任給で数万円、生涯年収では数千万円の差がつきます。これは脅しでも何でもなく、人事院勧告や地方自治体の給与条例に基づいた事実なんです。「そんなに違うの!?」と驚くかもしれませんが、この仕組みを理解せずに公務員になると、後で「こんなはずじゃなかった」と後悔することになりかねません。
1-1. なぜ学歴で給料に差がつくのか
そもそも、なぜ同じ公務員なのに学歴で給料が違うのでしょうか。
理由は大きく分けて2つあります。一つは「年齢と経験の差」、もう一つは「採用区分による期待値の違い」です。公務員の給与体系は、基本的に「級(職務の級)」と「号給(経験年数)」で決まります。大卒者は高卒者よりも4年間長く勉強しており、その期間が「経験」として加算されるため、スタート時点での号給が高く設定されているのです。
また、国家公務員の場合は特に顕著ですが、採用試験の区分(総合職、一般職など)自体が学歴要件とリンクしていることが多く、これが将来の幹部候補か、現場のエキスパートかというキャリアパスの違い、ひいては給与テーブルの違いに直結しています。
1-2. 現場で感じる「格差」の空気感
私が現役だった頃、休憩室での雑談でふと給料の話になることがありました。
ある時、高卒で入庁して10年目の先輩と、大卒で入庁して6年目の後輩が給与の話をしていたんです。驚いたことに、基本給がほぼ同じ、あるいは後輩の方が少し高かったのです。先輩は笑いながら「まあ、俺は勉強してこなかったからな」と言っていましたが、その目の奥には少し寂しような、諦めのような色が混じっていたのを覚えています。
現場では、高卒職員も大卒職員も同じように住民対応をし、同じように書類を作ります。業務内容に大きな差がない場合でも、給与明細上の数字には差が出る。これが、公務員の世界における学歴格差のリアルな空気感なんです。
2. 【初任給比較】スタートラインで数万円の差?国と地方のデータを公開
では、公務員としての第一歩、初任給の時点ではどれくらいの差があるのでしょうか。
「たかが数万円でしょ?」と思うかもしれませんが、この数万円が毎月積み重なり、ボーナスの計算基礎にもなるため、決して侮れません。ここでは、国家公務員と地方公務員、それぞれのデータを紐解いてみましょう。
2-1. 国家公務員(一般職)の場合
人事院が公表している令和6年の勧告内容などのデータ(※記事執筆時点の最新傾向)を参考にすると、行政職俸給表(一)における初任給の目安は以下の通りです。
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大卒程度(一般職):約22万円〜23万円
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高卒程度(一般職):約18.8万円〜19.8万円
その差は、月額で約3万〜4万円です。
年間に換算すると、ボーナス(期末・勤勉手当)を含めて約50〜60万円ほどの差が開く計算になります。国家公務員の場合、ここに地域手当や本府省業務調整手当などが加算されるため、勤務地や配属先によっては、この差がさらに広がることも珍しくありません。
2-2. 地方公務員(一般行政職)の場合
地方公務員の場合、自治体の規模や財政状況によって給与水準が異なりますが、総務省のデータ等を基にした平均的な初任給は以下のようになります。
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大卒程度:約19万〜22万円
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高卒程度:約16万〜18万円
月額での差は、約3万〜4万円前後といったところでしょうか。
国家公務員に比べると差はやや小さい傾向にありますが、それでも毎月3万円違えば、家賃のグレードを変えたり、趣味に使えるお金が大きく変わったりします。地方の場合、高卒枠の採用は「地元定着」を期待されている側面もあり、実家から通う人が多いため、可処分所得(手取り)で見ると意外と高卒職員の方が余裕がある、なんていう逆転現象が若手のうちは起きたりもします。
2-3. 「4年間の差」は本当に埋まらないのか?
よくある疑問として、「高卒で働いている4年間の間に昇給するから、大卒が入ってくる頃には同じくらいの給料になるのでは?」というものがあります。
実はこれ、半分正解で半分間違いなんです。
確かに、高卒職員は4年間で毎年昇給します。しかし、公務員の給与表(俸給表)の仕組み上、大卒初任給の格付け(スタート地点)は、高卒職員が4年間働いて到達する号給よりも、さらに高い位置に設定されていることが一般的なのです。つまり、大卒者が入庁してきた時点で、高卒5年目の職員よりも大卒1年目の職員の方が基本給が高い、あるいは同等というケースが多々発生します。これが「学歴による給与是正」の現実です。
3. 絶望的な昇進スピードの格差…「試験区分」という名の身分制度
給料以上に、現場で働く職員が敏感になるのが「昇進スピード」です。
「あいつ、まだ30歳なのにもう係長かよ…」
そんなため息が聞こえてくるのが、人事異動の季節です。公務員の世界、特に役所の中では、入庁年次と年齢、そして役職が厳格な階級社会を作っています。そして、この昇進レースにおいて、高卒と大卒では乗っている「エスカレーター」の速度が決定的に異なります。
3-1. 試験区分によるキャリアパスの違い
昇進スピードの違いを生む最大の要因は、採用時の「試験区分」です。
特に国家公務員の世界では、「総合職(旧I種・キャリア)」と「一般職(旧II種・III種・ノンキャリア)」の間には、越えられない壁が存在します。総合職は、入省直後から幹部候補として育成され、20代後半から30代前半で係長クラス、その後も課長補佐、課長へとハイスピードで昇進していきます。
一方、高卒区分で採用された一般職の場合、係長に昇進するのは早くても30代後半から40代、場合によっては50代近くになることもあります。これは個人の能力が低いからではなく、人事制度上の「昇進モデル」が最初からそのように設計されているからです。
3-2. 地方公務員における「学閥」と昇進
地方公務員の場合、国家公務員ほど露骨なキャリア区分はありません。しかし、それでも大卒と高卒の昇進スピードには差があります。
一般的に、大卒職員は40歳前後で係長級になり、順調にいけば課長級を目指せます。対して高卒職員は、係長級に到達するのが大卒職員よりも5年〜10年程度遅れる傾向にあります。
私がいた自治体でも、部長や課長といった管理職の席に座っているのは、圧倒的に大卒者が多かったです。高卒で課長級まで上り詰める人は、「伝説の職員」扱いされるほど仕事ができるか、よほどの人望がある人に限られていました。ぶっちゃけ、高卒で部長になるのは無理ゲーに近いレベルの難易度だったりします。
3-3. 追い抜かれる屈辱とモチベーション
私が個人的に一番辛いだろうなと感じたのは、高卒で長年真面目に勤めてきたベテラン職員が、親子ほど年の離れた大卒の若手上司に指示される場面を見た時です。
もちろん、組織である以上、役職が上なら従うのは当然です。しかし、現場の業務知識や住民との関係性はベテラン職員の方が圧倒的に上。それなのに、給料も役職も若手の方が高い。このねじれ現象に耐えられず、モチベーションを落としてしまう高卒職員を何人も見てきました。
「俺が教えた仕事を、あいつは今、俺の上司として評価してるんだよ」
酒の席でこぼした先輩の言葉は、今でも忘れられません。これが、昇進スピードの格差がもたらす、数字には表れない現場の痛みなんです。
4. 生涯年収は家一軒分!?数千万円の格差が生まれるカラクリ
毎月の給料の差、ボーナスの差、そして退職金の差。これらをすべて足し合わせた「生涯年収」で見ると、その格差は家が一軒建つレベルになります。
人生100年時代、老後の資金も気になる中で、この差は見過ごせません。
4-1. 概算シミュレーション:3,000万〜5,000万円の壁
各種統計データやモデル給与を基に試算すると、公務員の生涯年収(定年まで勤務した場合)には大きな開きが出ます。
一般的な試算では、高卒と大卒の生涯賃金の差は約3,000万円〜6,000万円程度と言われています。
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大卒公務員:約2億4,000万円〜2億8,000万円
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高卒公務員:約1億9,000万円〜2億2,000万円
もちろん、自治体の規模や、高卒でもどこまで昇進できるかによって幅はあります。しかし、最低でも数千万円単位の差は覚悟しなければなりません。
これは単純に基本給の差だけでなく、昇進スピードの違いによる役職手当の累積差、そして基本給に連動して計算される「退職金」の差が大きく影響しています。
4-2. 退職金にも響く「基本給」の魔力
公務員の退職金は、「退職日の基本給 × 支給率 + 調整額」という計算式で決まることが多いです。
つまり、定年退職するその瞬間の基本給が高ければ高いほど、退職金も跳ね上がる仕組みになっています。大卒職員は順調に昇進し、高い級(課長級や部長級)で定年を迎えることが多いため、基本給が高くなります。一方、高卒職員は係長級や課長補佐級で定年を迎えることが多く、基本給の天井が低くなりがちです。
この最後の最後に効いてくる「基本給の魔力」が、生涯年収の差を決定的なものにします。
4-3. 投資対効果(コスパ)で考えてみる
しかし、ここで一つの視点を提示しておきたいです。それは「大学進学にかかる費用と時間」です。
大卒職員は、4年間の学費(私立文系で約400万円、理系ならもっと)と、4年間働いていれば得られたはずの収入(機会損失)をコストとして払っています。
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学費等:約400万〜600万円
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4年間の未就労による機会損失:約1,000万円(高卒初任給ベース)
合計で約1,500万円程度の「投資」をして、生涯年収で数千万円のリターンを得ていると考えれば、大学進学は公務員になる上でも非常にコスパの良い投資だと言えます。逆に言えば、高卒公務員は「借金なしで社会に出られる」「早くから自立できる」という点で、初期のキャッシュフローにおいては優位性があるとも言えます。
5. それでも「高卒公務員」が勝ち組になれる理由と生存戦略
ここまで、厳しい現実ばかり突きつけてしまいましたが、私は決して「高卒で公務員になるな」と言いたいわけではありません。むしろ、目的意識があれば、高卒公務員は非常に賢い選択になり得ます。
5-1. 高卒公務員の隠れたメリット
まず、最大のメリットは「時間の早さ」です。
大卒者が就職活動で苦しんでいる22歳の時点で、高卒職員はすでに4年目のベテランです。業務を一通り覚え、職場での信頼関係も築けています。また、早くから収入を得ることで、20代のうちに結婚やマイホーム購入といったライフイベントを前倒しで進める人も多いです。
「隣の芝生(大卒の給料)」さえ見なければ、公務員の給与水準は世間一般と比較して決して低くはありません。高卒で安定した収入を得られることは、現代社会において強力なアドバンテージです。
5-2. 格差を埋めるための「逆転の一手」
では、入庁してしまった後に、この格差を埋める方法はないのでしょうか。
実は、いくつか方法はあります。
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庁内選抜試験(内部試験): 自治体や省庁によっては、働きながら受けられる内部試験があり、これに合格すれば大卒相当の給与テーブルやキャリアパスに移行できる制度があります。実際に私が知っている職員でも、猛勉強してこの試験に受かり、大卒組をごぼう抜きしていった猛者がいました。まじですげえ執念でした。
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資格取得とスキルアップ: 税理士や社労士、あるいはIT系の高度な資格を取得し、その専門性を武器に部署異動を希望したり、あるいは思い切って民間企業へ転職したりする道です。公務員としての経験+難関資格は、市場価値を大きく高めます。
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副業(解禁の流れに乗る): まだ限定的ですが、公務員の副業解禁の流れは徐々に進んでいます。不動産投資や農業など、許可される範囲での資産形成を行い、給与格差を自力で埋めるというアプローチです。
5-3. 失敗談から学ぶ:腐ったら負け
ここで少し、私の恥ずかしい失敗談をお話しします。
私は民間から公務員に転職した「中途採用組」でしたが、入庁当初、自分より年下の高卒の先輩に対して、心のどこかで「学歴は自分の方が上だ」という驕りを持っていました。しかし、実務においてその先輩は、法令の知識も、住民対応のスキルも、庁内の調整能力もずば抜けていました。
私がマニュアル通りの対応で住民を怒らせてしまった時、その先輩が割って入り、見事な話術でその場を収めてくれたことがあります。その時、痛感しました。「給料のテーブルがどうとか考えてる時点で、俺は公務員として二流だわ」と。
学歴や給料の差を言い訳にして腐ってしまうのが、一番の損失です。制度上の差はあれど、仕事のプロフェッショナルとして評価されるチャンスは、誰にでも平等にあります。
6. ぶっちゃけどうする?進路に迷うあなたへの元職員からの提言
最後に、進路に迷っている高校生や、その親御さんに向けてアドバイスを送ります。
6-1. 「なんとなく大学」なら公務員試験を受けろ
もし、「特にやりたい勉強はないけど、みんな行くから大学に行く」という理由なら、私は高卒での公務員試験受験を強くおすすめします。
Fランク大学と呼ばれる大学に奨学金を借りてまで進学し、就職活動で苦戦してワーキングプアになるくらいなら、高卒で公務員になり、安定した基盤の上で自分の人生を設計する方が、よほど堅実で賢い選択だからです。
6-2. 「将来の給料」を取りたいなら進学せよ
一方で、「やっぱり生涯年収の数千万円の差は許容できない」「将来は幹部として組織を動かしたい」という野心があるなら、迷わず大学へ進学してください。
公務員の世界は、良くも悪くも学歴主義が根強く残っています。そのルールの中で勝ち上がりたいなら、まずは「大卒」というパスポートを手に入れることが、最も効率的な攻略法になります。
6-3. どちらを選んでも正解にできる
結局のところ、高卒公務員も大卒公務員も、それぞれにメリット・デメリットがあります。
大切なのは、「制度上の格差があること」を正しく理解した上で、自分で選択することです。知らずに入って「騙された」と思うのと、知った上で「自分のライフプランにはこれが最適だ」と選ぶのとでは、その後の働きがいが全く違ってきます。
7. まとめ
この記事では、高卒と大卒の公務員における給料や待遇の格差について、具体的な数字や現場の実情を交えて解説してきました。
【記事の要点まとめ】
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初任給の差: 月額で3〜4万円程度。年収ベースで数十万円の開きがある。
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昇進の差: 試験区分により、昇進スピードと到達できる最高役職に明確な天井(キャップ)が存在する。
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生涯年収の差: 定年まで勤め上げると、3,000万〜5,000万円程度の大きな格差となる可能性がある。
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高卒のメリット: 社会に出るのが早く、学費がかからない。ライフプランを前倒しできる。
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結論: 金銭面を重視するなら大学進学が有利だが、早期の安定を求めるなら高卒公務員も有力な選択肢。
給料の差は、確かに存在します。しかし、公務員という職業の魅力は給料だけではありません。地域への貢献、雇用の安定性、社会的信用。これらは学歴に関係なく手に入るものです。
今のあなたが「何を一番大切にしたいか」を軸に、後悔のない選択をしてください!